Sarah's Diary

UK POPの歌詞和訳と関連記事から英語を学びます

2017.10.3 : ファンにさじを投げられそうなモリッシー ジョニーよ、救命措置を

www.theguardian.com

 

[オピニオン欄]記事:スチュアート・ヘリテージ

 

イスラム主義者の政治家・アン・マリエ・ウォーターズをめぐる陰謀説
 ー モリッシーの最近の爆発ぶりは、音楽ファンにとって致命傷となるだろう

 

[写真]デヴィッド・キャメロン(元首相)以下のザ・スミスファンがいる。その一人がモリッシー

 

 読者は、デヴィッド・キャメロンがザ・スミスのファンであることを禁じたジョニー・マーの発言を覚えておいでだろうか、きっと忘れることはないだろう。キャメロンが、Radio4の番組「デザート・アイランド・ディスク」で「ディス・チャーミング・マン」を選曲したことに対して、マーはツイッターで「デヴィッド・キャメロンよ、スミスファンであると名乗らないでくれ。君はファンなんかじゃない。スミス好きを公言するのは禁止だ」と反撃した。ただそれは、若くクールで煙草をふかしながらタトゥーを入れた妻と一緒にフェスに行くような、EU離脱反対派で、車輪付きのお高い納屋を裏庭に持っているような人間(注:キャメロンを指す)の話だ。しかし、キャメロンよりさらに最悪なスミスファンがいる。その一人がモリッシーだ。

 

 私は、いつマーがモリッシーに対して「ザ・スミス ファン禁止令」を発するのか確認するために、いつもマーのツイッターアカウントをチェックしている。最近のエピソードをご存知の読者もいることだろう。今週発売された最新アルバムのプロモーションで出演したBBC6Musicの生放送中、曲間のMCとして伝統的かつ適切な「次は新曲です」と言ったセリフや煽りの叫び声を上げる代わりに、モリッシーイギリス独立党党首選への独自の見解を厳かに発表することにしたのだ。「先日は本当に驚きました。実に興味深かった・・・アン・マリエ・ウォーターズがイギリス独立党の党首に選ばれるなんて」。そして付け加えた。「あ、間違えました、当選しなかったんですよね、選挙が不正だったから。忘れてました、すみません」と。

 

 反応と言えば、沈黙だった。完全にオーディエンスは言葉を失っており、全員が屈辱を感じているように見えた。午後の楽しいひと時を、ティーンの頃からの大好きなバンドの歌い手を見て涙しながら過ごそうと思っていたのに、彼らが目にしたのは「悪いモリッシーと、政治への彼の疑惑の眼差し」だった。「イギリス独立党(UKIP)」は、BBC6のリスナーを魅了することはできない言葉だ。「古着のコーデュロイジャケットが好き」はOK。「スープ・ドラゴンズが好き」もOKだ。だが「極右政党の党首が、才能がありながら特有の信条があるために党首に選ばれない」と言った穿った陰謀説、これはノーだろう。

 

  我々は予見しておくべきだったのかもしれない。モリッシーはUKIPの件で不平を述べることで、またもニュースを発信した。もしそうでなかったら、コンサートの感想は一体どんなものになっただろうか。「『ゲーム・オブ・スローンズ』に出てるサムウェル・ターリーがライブを見に来てたよ」とか「モリッシーの新曲、良くなかった」とか、そんなところだろうか。

 

 その代わりに、モリッシーは新たな火炎放射を放ち、突き進むことになった。EU離脱の結果を「素晴らしい」と評したり、「ナイジェル・ファラージュ(UKIPの党首)はなかなかだ」、「中国人は亜種」と人種差別発言を行った時のように。こうした問題発言は定例化しており、モリッシーの良くない行いは、保守党集会でのウェディングドレス事件並みに絶望的な出来事となっている。(毒舌で知られるタレントのケイティ・ホプキンスが、保守党の集会に純白のウェディングドレスで現れ、耳目をかっさらった事件)

 

 これらを総合すると、モリッシーは一段とスミスを楽しめなくなっているように思える。モリッシーは自ら、悪いファンになってしまっている。テレビ界には「『悪いファン』は概ね男性視聴者であり、防御的で排他的で、他のファンに対して攻撃的。他のファンの経験に泥を塗るような行為に走る」と言うセオリーがある。この世の他のファンは皆、憂いに満ちたストーリーに耳を傾けたいと思っているのに、彼自身ばかりが戯言を口走り、彼に憧れて大人になった繊細なファンたちと、全く調和していないのだ。

 

 彼の新作の曲目リストを見れば、合点が行く。「テルアビブから来た、跪かない少女」「警察から僕らを守ってくれるのは誰?」「イスラエル」・・・まるで、括約筋が腸を突き抜けて、気管まで破りかねない勢いだ。

 

 ここで不思議なのは、今なぜモリッシーツイッターを開始したのか、と言う点だ。ツイッターの基本的な機能の1つとして、今までファンだったセレブが、実はひどい存在だったと証明できる点が挙げられる。モリッシーも同様の運命にあることだろう。現在までのところ、モリッシーのアカウントは新作アルバムのプロモーションに専ら使われているが、すぐに狂気の沙汰になりえるだろう。そして我々には破滅が訪れる。目下のところ、ツイッターでのモリッシーは不発弾だ。

 

 つまり、今まさにジョニー・マーの救命措置を必要としているのだ。ザ・スミスの清く正しい部分を担っている彼が、今ほど必要とされている時期はない。キャメロンを荒れ地に追いやって、小さなレモンドロップがもたらすささやかな喜びを与えられるマーなら、モリッシーに対しても同じことが可能だろう。たったの1件のツイートで良いのだ、それで事は足りる。「モリッシーザ・スミスのファンであることを禁じる」それで十分だ。そしてファンは団結しよう、サムウェル・ターリーも入れて皆で解放の喜びに浸ろう。あの、イライラさせるプロである愚かなモリッシーから、最高に素晴らしいバンドがもう二度と傷つけられずに済むのだと。

 

 

 

 

【Words】

conspiracy(名)陰謀、謀略、裏切りや悪事を陰で計画すること →conspiracy theory 陰謀説

the final straw    最後の一撃、きっかけとなる出来事

fag-smoking(英英語)煙草をふかす

remoaner ;  a person who does not get the right result from a democratic vote

e.g. the vote from a yes / no referendum to exit or leave the European Union

veer away  それる

rigged(形)〔選挙・試合・価格などが〕不正に仕組まれた、不正(に)操作された、八百長

win over
1.〔説得して人を〕納得させる、味方に引き入れる、口説き落とす、取り込む
2.〔演技などで人を〕魅了する

swivel eye  斜視の眼

sphincter 括約筋

intestines 腸

windpipe 気管

shtick(名)お決まりのギャグ、特技、才能

crackpot(名)狂気じみた人

band together 一団となる、結束する、党派を組む、団結する

Lunkheaded(形)愚かな、頭の弱い[鈍い]、間抜けな、能なしの

 

【Note】

手厳しいですね・・・確かに、モリッシーの問題発言の数々は、センセーショナルなだけでなく、その影響力を考慮すると見過ごせないレベルに達していて、新聞にも多くの批判記事を見かけるようになって来ています。

 

かつてはその若さと繊細さで、偏った発言も理解・共感を呼んでいた事は確かだと思いますが、現在の彼の影響力と年齢を考えた時に、彼ならではの「角度のついた物の見方」はそのままに、もっと違うメッセージを発信することもできる気がするのに。奇妙に屈折だけが残り、自己批判的な部分はどこに行ったんだ?と思わずにいられません。

 

中段の、モリッシーとマーの初々しさの残る2ショットが涙を誘う・・・・・泣

 

 

 ▼おまけ 

大好きなザ・スミスのTシャツを手にして、ご満悦のキャメロンさん↓f:id:sarah_noir:20180418163101j:plain

ご自慢の車輪付き納屋が届いて、ご満悦のキャメロンさん↓

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ファン禁止令・・・可哀そうな気もするけど、こんなエスタブリッシュメントぶりを臆面もなく晒しているのが、ジョニーは許せなかったのかな?笑