Sarah's Diary

UK POPの歌詞和訳と関連記事から英語を学びます

1999.7.17 : 僕らはこうして出会った ジョニー&バーナード インタビュー

www.independent.co.uk

 

マンチェスターのアードウィックで1963年に生まれたジョニー・マーは、1982年に歌手のモリッシーザ・スミスを結成。数々の名曲を世に送り出したが、その解散劇は険悪なものだった。その後ジョニーはマンチェスターへ戻り、プリテンダーズやトーキングヘッズ等他のアーティストと共演。1991年にはバーナード・サムナーとエレクトロニックを結成。現在は妻のアンジー、2人の子どもと共に暮らしている。

 

バーナード・サムナーは、1956年マンチェスター生まれ。ジョイ・ディヴィジョンの結成時からのギタリストであり、1980年のイアン・カーティスの自殺後は、ボーカルを担当。翌年ニュー・オーダーが結成されたが、後年メンバーが派生プロジェクトに注力するにつれ、バンドは休止状態に。その中でも最も成功を収めたのが、エレクトロニックである。現在は妻と2人の子どもと共にマンチェスター在住。

 

 

ジョニー・マー僕が最初にバーニーのことを知ったのは、1977年頃で14歳の時。ジョイ・ディヴィジョンのファーストアルバムだった。それまではそういう音楽を聴いたことがなかったのに、どういうきっかけなのかは分からないけど、気に入ったのを覚えている。とにかくすごい衝撃だった。

 

バーニーには興味があった。その頃はかなりギターにハマっていたから、色んなギタリストをチェックしていたんだけど、バーニーのやっていることは僕の想像の域を超えていた。ギタリストとしてバーニーはとても個性的だったし、唯一無二の存在、って感じだった。

 

バーニーに初めて会ったのは1983年で、バーニーはマイク・ピカリング(M PeopleのMにあたる)のレコーディングをプロデュースしていた。彼が、僕が住んでいたマンチェスターの反対側のサルフォード出身だというのはすぐに分かった。たぶん子どもの頃は良くキックボードを乗り回していたんだろうなあ、って彼を見て思ったよ。すぐに色々と彼のことをチェックしてみたけど、ある程度までしかわからなかった。きっとバーニーのことを良く知っている人に聞いたら、彼ってそんなにわかりやすい人間じゃないって言うと思うよ。

 

その後に会ったのは、ハシエンダに関することだったと思う。僕らはマンチェスター人だから、スタッフも共通だったり、共通の知り合いもいた。その後、ソロでやろうとしているバーニーから電話がかかって来て、一緒に何曲かやってみないか?と聞かれたんだ。その時僕はサンフランシスコにいて、ニュー・オーダーが公演していた。それを見に行って、バーニーに会ったんだ。僕のことをオフィスに呼んでくれて、トイレで考えたんだ・・・ここなら新しいグループを始めるのに相応しい、って。ここで解散しない限りは、だけど!

 

バーニーはとてもひたむきで、自分自身を良く知っていた。同時に、オープンな心の持ち主で、決めつけたりしないタイプなんだ。自分を抑制する術を知っている。ミュージックシーンにいる人間って言うのは、自分のエゴを持ってなくちゃいけない。でもバーニーにとっては、ミュージックシーンの外に自分の人生とか価値があるんだ。これってすごくレアな事だと思う。

 

バーニーは過去も未来も気にしない。現在を生きているんだ。自分なりのルールがあるらしいけど、絶対教えてくれないね!人生を厳しく生きて行きたいようだけど、実際そうでない自分にムカついている感じ。出かけてばかりで、パーティーに顔を出すのに忙しかった頃の自分を悔やんでいるんだ。

 

出かけた時のバーニーは、ハメルーンの笛吹きになれるんだ。モルディブの島の小屋でカッコいいバーニーを見たよ、あの時彼は家族を連れて来ていて、小さい子どもたちと祖父母がいた。踊ったことなんてない人たちさ。朝の4時まで、テクノトロニックに合わせて笛を吹いたり歓声を上げたりしていたね。

 

僕らのことを見た人はきっと、あまり似てないね、と言うと思う。バーニーもきっとそう言うかな。でも、僕ら二人にとってとても重要な事がいくつかある。それは音楽に落とし込まれているし、アイディアだってそうだ。僕らの自尊心的なものは、作り上げた曲によって完全に包み込まれていなくちゃならない。僕らはものすごく大変な時間を経て、作り上げたものがこれで良いかどうかを確認しているんだ。

 

友情とバンド仲間との関係性に、区別を付けたりはしない。近しい関係性がなければ、バンドを続けることはできない。モリッシーととても親しくしていた頃は、バーニーと僕はお互いに距離を置いていたからね(これが何を意味しているか不明なので、少々恐ろしい)

 

僕らは3枚しかアルバムを出していないけど、とても濃い関係でやらせてもらった。長い目で見たら、これほど深い関係の相手もいないと思う。僕らの関係性って言うのは、前にそれぞれがいたバンドから避難して来たような感じ。エレクトロニックにおいては、音楽自体よりも友情が重要なんだ。これって特別なことで、僕にとっては初めての経験だった。

 

 

バーナード・サムナー:ジョニーは知らないと思うけど、ジョニーの演奏を初めて聴いたのは1982年のスタジオでだった。当時のポップミュージックは、シンセサイザー電子音楽が最盛期で、ギターは時代遅れだと思われてた。だから最初にザ・スミスの音楽がホールから流れてきた時は「何だこの音は?」って感じだったよ。でもすごい音楽だと気づいた。その後、マーク・ピカリングのプロデュースをしている時に、ギターがいるよねって言う話になって、ギタリスト・・・って電話帳のGのページを引いたら、一番最初がジョニーだったんだよ。その時にはもう、ジョニーが言うところの「Sワード」つまり、ザ・スミスの音楽はだいぶ知ってたかな。

 

その後程なくして、彼ときちんと知り合う機会に恵まれた。ニュー・オーダーザ・スミスで一緒にライブを何回か一緒にやったんだ。共通のヘアスタイリストの友人がいて、ジョニーがどうしてるかいつも教えてくれてたんだ。でも結局のところ、僕たちのキャリアが重なるってことはほとんどなくて。実際モリッシーに会う機会もなかった。

 

ジョニーのことを最初に知ったのはどうしてか、ちょっと思い出せない。ミュージシャンとしての彼の記憶が色々ごっちゃになってて。でもはっきり覚えているのは、彼はとってもいい奴だったってこと。少し落ち着かない様子だったけど、感じは良かった。僕はニュー・オーダーではできないことをやりたいと思ってて、他のバンドメンバーが動揺しないように、自分でソロの曲を書き始めてたんだ。でも音楽って言うのは一人じゃできない活動だから、誰かと一緒にやりたいと思って。 そしたらジョニーがライブに来てくれて、トイレでばったり会ったって訳。ザ・スミスは解散状態だったから、僕は一緒に何かやらないか?って聞いてみたんだ。

 

ジョニーはずっとミュージシャンに憧れてたと思うんだ、僕なんて16になるまでレコードプレイヤーも持ってなかったのに。彼は天賦の才がある。ギターも上手いし、人生で自分の役割が何なのか理解している。そんなの、僕なんてまだ見当もつかないよ。ミュージシャンとして成功は収めたけど、それが天職かどうか自信がない。

 

昔は僕もパーティー人間で、アシッドハウスにかなりハマってた。一週間働きづめで、それが週末のご褒美って感じだったんだ。でも、ジョニーはそんなにハマったりもしなかった。僕にとって、パーティーはすごく楽しいけれどもう続けたくはない事って感じだったけど、ジョニーにとってはたぶんそんなに面白くなかったんだろうね。ジョニーは喫煙者なんだけど、僕はそれが嫌いでさ、僕の継父がタバコの吸い過ぎで死んじゃったものだから。ジョニーがタバコを吸うと、吸い殻が山盛りなんだよ。でもジョニーはいい奴だから、わざわざ離れて吸ってくれるんだよ。

 

僕って時々気分が乗らなくて気難しい時もあるんだけど、そんな時ジョニーが僕の解毒剤になってくれるの。でも、彼と一緒にシンクロして、付いて行くのって大変なんだよ。本とか音楽とか何かに集中すると、ジョニーは僕のことをすごい勢いで引き付けて、彼の世界に連れて行っちゃうんだ。だから次に会う時は、何にもハマってないってきっと言うな。ジョニーは結構飽きっぽくて、それがいつ来るか分からないし。ジョニーのシャツの裾をずっと掴んでおくのは難しいんだ。

 

 

 

【Words】

knock someone for six (英)
~に決定的な打撃を与える
クリケットで打者が境界線を直接越える打球を打つと一挙に6点が与えられることが野球のホームランなどよりもはるかに難しいことから。

intrigue (人)の興味を引き付ける、(人)の好奇心をそそる

fathom  [比喩]
1.〔人の考えなどを〕探る、推測する、見抜く、理解する
2.〔原因・動機などを〕探る、突き止める

spacey (俗)ボーッとなった、現実離れした、奇妙な、現実味のない

suss (英俗)1.~を疑う、~に疑いを掛ける 2.〔実態・事情などを〕調べる、調査する、突き止める

summon 呼び集める、呼び出す、召集する、招集する、喚問する、招致する

kick oneself  (話)〔過去を振り返って〕後悔する、悔やむ、自分を責める

finish one's sentence 刑期を終える 《finish one's sentences》話を終える、言葉を結ぶ

half the time (話)しばしば、たびたび、再三、しょっちゅう

twitchy 引きつった、神経過敏な、落ち着きのない、イライラした

vocation  天職、適職 

morose 不機嫌な、むっつりした、気難しい

antidote 解毒剤

 

【Note】

20年近く前(!)の少々古い記事ですが・・・「エレクトロニックは僕らの避難所」素敵すぎる避難所だ・・・夢のユニット、是非 with Neil Tennant でまた見てみたいものです。
バーニーがジョニーの才能に対して敬意を払っている一方で、「僕なんてさ」を連発しているあたりが可愛い。 バーニーの方が7つもお兄さんなのに 笑