Sarah's Diary

UK POPの歌詞和訳と関連記事から英語を学びます

2017.10.27 : ジョニー・マーが語る デジタル時代のクリエイティビティ

 

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0:20(倉庫のような広いスペースの奥で、ジョニーがひとりギターを弾いている)

 

いくつかコードが弾けるようになった瞬間から、楽器を弾くってことは何かを生み出すことをひたすら追求する作業だと感じてた。

 

ギターって本当にクリエイティブで、アーティスティックなものを生み出すための手段として使っていたんだ。

 

ザ・スミスの時は、ここから実際に歩いて1マイルばかりのマンチェスターのスタジオだった。本当に僕にレコーディングができるのかどうか、って感じでみんな見てたね。

 

初期の頃は何人かのプロデューサーを起用して、僕には彼らがお手本のように見えてた。まるで水を吸収するスポンジのように、彼らをメンターにして実にいろいろなことを学んだよ。

 

 

1:30(リハーサル中のジョニー。座ってバンドメンバーに指示を出している)

「ここは2回ループにできるかな?ここのフェイズで。プログラムをここに入れれば、パッドをたたいた時にループが続いて行って、フェイズが上からかぶって来るでしょ」

 

僕はどんなアイディアでもレコーディングしてみることにしているんだ。アイディアがどんな風に展開して行くかは分からないから。

 

レコーディングで一番いい方法は、とにかく腕まくりをして、元々できたことみたいにすましているのがいいんだ。

 

テクノロジーの進化で、僕の作業方法も劇的に変わった。80年代のデヴィッド・ホックニーが現在のテクノロジーを使っていたら、全く新しいものが生まれただろう。僕はピカソが好き。なぜかって言うと、インスピレーションの存在を信じてて、でも作業するのは人間自身だって言うところ。僕にもそういう経験がある。

 

映画の仕事でサントラに取り組んでて、クリストファー・ノーランとかハンス・ジマーなんかとこの6-7年くらいかけてやっていたんだけど、それって僕にとっては新しいスキルになったし、今でもすごく楽しくて、学べるものは何でも学んでみたいと思ってる。

 

だから、完全にはまだ理解できていないことこそ、すごくヒントになるって言うのが僕の考え方なんだ。

 

 

2:52 (ミキサーとマシンに向かっているジョニー。アメリカの女性詩人Mary Oliverの詩 "Today" を朗読する女性の声が流れている)

(女性の声)「距離、沈黙。寺院のドア・・・」

コラボレーションって言うのは新しい体験のきっかけだし、インスピレーションになる。

(女性の声)「今日の私は低く飛んでいる 呪いを野心と言う名の睡眠に誘おう 世界はしかるべき方向へと向かい行く 庭のミツバチが少し羽音を立て 魚は跳ね ブヨは餌食となる しかし私は日がな休息し 羽毛のようにおとなしく過ごす そして今 せわしなく動き回り はるかな距離を旅し続ける」

 

バンドと言う形は至上のコラボレーションで、あと3人とか4人とか5人とかのメンバーと一緒にいると、それはチームなんだ。ラッキーなことに僕はバンドアニマルな人間だから、チームで一緒にやるのが好きなんだよね。性格的にも、バンドでやるのがすごく向いていると思うし、15歳の時からずっとザ・スミスとか、それからニュー・オーダーのバーナード・サムナ―とやったエレクトロニックとか、いい感じでやって来れていると思う。それから、既にあるチームに参加して、上手くフィットするように探って行くやり方も、僕の気性に合ってる感じがするね。

 

アイディアを、ほかのアートや分野や領域から学んで、自分のプロジェクトに当てはめてみるって言うのも、やってみると大体いつも面白い。

 

 

4:16 (スタジオのミーティングルームでチームと話し合うジョニー。モノクロのシーン)

わかんないけど、皆ここの3倍か4倍くらいの広さのアパートに住んで、月に50ドルの家賃だったんだよ。温水は出ないし、食べるものもないし、今思うと本当にすごいのは、アートで身を立てた人たちって言うのは、男も女も皆アイコニックなんだよね。

でもそれまでは(けたたましく女の携帯が鳴る)、自分たちが1セントも稼げるかどうかすらわかってなかったんだろうね。儲かるか、じゃなくて、純粋に好きだって気持ちでやってたんだと思うよ。

 

皆子どもじゃないし、一番若くても、ラウシェンバーグがたぶん30代そこそことか、それくらいだったんじゃない?

 

僕は面白い時代を生き抜いてきたと思う。デジタル革命が巻き起こって、デジタルテクノロジーのおかげで、こういう複雑なマシーンと原始的なつくりの初期のギターをどう融合させるか、実験してみることができた。こういう実験を通じて、僕のギタースタイルも発展させることができたし、自由になれたと思う。

 

24歳の時にエレクトロニックと言うバンドにいて、バンドの名前が示す通り、ニュー・オーダーのバーナード・サムナー、ペットショップボーイズのニール・テナント、おまけにクラフトワークカール・バルトスとまで一緒に仕事ができた。皆現代のミュージックシーンでは最先端のテクノロジーを知り尽くしているメンバーだ。

 

 

5:52 (壁に貼られたSheila Take A Bow、Big Mouth Strikes Again、Meat Is Murderのポスター)

想像力と人間のハートと魂。こうしたものが0か1か集まって、時に素晴らしく、時に偶然に繋がり合って、他の人間が心打たれる作品へと発展して行くんだと僕は思う。

 

 

 

【Words】

temperament  気質、性分、気性
intricate  構造が複雑な

 

【Note】

Microsoft in Business」と言う、一見ジョニー・マーとは縁遠い響きのアカウントに、ショートムービーのような内容の動画を見つけました。

マンチェスターにあるジョニーのスタジオの様子が垣間見れるほか、(私はあまり詳しくありませんが)様々な歴代のサウンド機器やポスター等も楽しめて、制作の舞台裏を少し見せてもらった気分。

いつにも増して真摯に語るジョニーの姿、ギタープレイの時とは違う「社会人の男」な一面を感じます。